この「我慢」ですが、一般的には「やりたいことを諦めること」と思われているかもしれませんが、子どもたちにつけてもらいたいのは「違う方法を考える」意味の我慢です。やりたいことが友達とかぶってしまったから自分は違うやりたいことを見つけるとか、友達に諦めてもらうための方法を考えるとか、遊びを切り上げないといけないからいやだなーと感じている気持ちを「今日のごはんは何だろう?」と食事に興味を移していく方法とか。今の自分の感情をコントロールし、別の選択肢を探していく「我慢」ができるようになると、大人の介入がなくても自分たちだけで充分に場を動かしていくことができます。あさりこども園の生活の中で、その力をつけていくための体験を積み重ねてほしいと思っています。
そんなことを考えているときに、興味深いツイートに出会いました。小学3年生の長女と小学1年生の次女のやりとりを紹介したものです。
①海に二泊三日で明日帰る夜、次女が「最後は皆でお父さんの方のお風呂に入ろうか」と言い出し、長女が「いや、私はお母さんの方に入るから…」と答えたところで、次女が泣き出して止まらない。お風呂場でもずっと泣いており、長女はお風呂にはしゃぎつつも、次女に泣いている理由を聞き続け、
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
②「私が男湯に行かなかったから泣いてるの?」「男湯がどんなのが見たかったの?」「たまにはお父さんと入りたかったの?」と、一つ一つ理由を確かめて、次女が全部に首を振ると、長女はしばらくしてからまた同じ質問を始め、少しずつ質問の内容を変えながら20個ぐらい質問したところで、
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
③長女が「あー、なるほど、お父さんが毎日お仕事遅くてあまり家族とお話とかできてないから、せめて旅行の時ぐらい一緒に入ってあげたかったのねー。お父さん、寂しかったかもねー」と言うと、次女がこくんと頷いたので、相手の気持ちを文章化させる力、すごいな長女と思いました。
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
④長女が同じような質問をしても何度も次女が首を振ったのですが、長女が少しずつ質問の内容を変えながら尋ねる事によって、次女が何となくモヤモヤした気持ちに整理がついてきたみたいです。「おしゃべりが上手でも、自分の泣いている理由がうまく言えるとは限らないからねー」と長女。
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
⑤最後にみんなで背中を洗って、次女が笑顔になって終了。どうしたらお父さんが寂しくなくなるか、作戦会議をするそうです。いやあ、ささいな事だったんですが、鮮やかな手腕に鳥肌がたちました。
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
長女に「泣いている子にお話するコツ」を聞いたところ、「ゆっくり優しい声でたくさん質問をする。そのうち、相手が『私の気持ちが分かってくれて嬉しい』と思ってもらえるドアにたどり着く。そこからドアを開けて、ちょっとずつ相手に近づいていきながらしゃべる」だそうで、実践できている所が凄い。
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
『自分の気持ちがわかってもらえた』というきっかけから、気持ちが色々な所につながっていって、そこからは自然と自分の力だけで心は解決に向かっていくからね。そのきっかけを探すのを、ゆっくり丁寧にして、『泣きやませよう』と思わないのがコツかなあ。
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
昨日は旅行中に何度か次女が泣き出し、私が「何で泣いてるの?言ってくれないと何も手伝ってあげられないよ」と言っても、ずっと次女は黙ってシクシク泣くだけで、正直、次女がしょっちゅう泣くのしんどいな…と思っていたのですが、
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
私は泣いている子を何とか泣きやまそうと、あの手この手で話しかけるのに対して、長女は「何で泣いているのか本人も分からなくて辛いから、理由を一緒に探して助けてあげよう」というスタンスだったので、何だか色々考えさせられました。大人の私だって、何となくモヤモヤして辛い時もあるというのに…
— とけいまわり (@ajitukenorikiti) 2017年8月16日
純粋にすごいなーと思いましたし、こうやって自分の思いを言葉にすることが苦手な子に対して一緒に考えてあげる存在があれば自分の思いや感情を客観視しやすくなるだろうなあとも思いました。自分を客観視することは、自分の感情をコントロールするためには欠かせないことです。客観視できるからこそ自分の思いに気づくことができ、思いに気づけるからこそ感情をコントロールでき、コントロールできるから別の選択肢を見つけることもできる、つまり我慢ができるというわけです。だとすると、自分の気持ちに気づくのが得意でない子に対しては、保育者や周りの友達がこのツイートの長女のような役割を担ったりすることで、あさりこども園での子どもの育ちはずいぶん変わってくるんだろうなあと、そんなことを思っています。もしかするとそんなことは既に当然のように行われているかもしれませんが、時々その意味の確認をするのも大事なことだと思います。
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