2011年7月8日

No.201 自然と人間の関係

最近読んだ本の中におもしろいものがありました。森林をテーマとした著書を書いておられる浜田久美子さんの「森の力」という本です。その中に書かれていたことで特に興味を持ったのは、『森の幼稚園のような森での活動を多く持っている子どもはコミュニケーション能力が高くなる』というものです。森での活動を通して運動面や健康面でプラスになるのは想像していたことなんですが、コミュニケーション能力が高くなるのはどういうことなんでしょうか。

浜田さんは森の幼稚園の活動を体験して感じたことをこんな風に書いておられます。『コミュニケーションの基本は言語の獲得や相手に対する想像力や場や状況を読み取る力。そのためにはまず自分自身の感情や感覚をきちんと感じ取り、それに対処できることが大事。その感情や感覚をバランスよくマイルドに刺激される機会が森での活動には多くあり、そして喜怒哀楽の感情を制約されずに放出することが許されているのが森の特徴。』これを読んで、なるほどと思います。コミュニケーション=他者と関わるためには相手への想像力が大事で、自分の様々な感情がそのベースとなる。そのための様々な感情を体験する場として森は重要な環境となるという話は新鮮でした。同時に私自身の森や自然に対しての見方が偏っていたかもしれないと気づかせてくれる内容でした。

とてもいい気づきを与えてくれる内容だったので、あらためて森や自然について学んでみようと思っています。あさり保育所の保育目標に『自然に生かされる保育』という項目があります。今まで自然との関わりをおろそかにしていたわけではないのですが、その捉え方についてはまだまだ十分ではなかったかもしれません。4月のこのひとりごとでも書いているのですが、自然をどう活用しようとかどう守っていこうとか、どちらかというと自然を上から眺めたような視点ではなく、私たちも人間も自然の一部であり、自然とともに歩み、自然に対して畏敬の念を感じることを大切にする考え方への転換が必要だと感じています。謙虚な気持ちで自然を眺めたとき、絶えず変化している自然が私たちに何を伝えてくれているか、自然とともに生活ができていたとき人はどんな育ちの機会を与えられていたか、そんなことを整理してみることにします。自然の中へ出かけることが増えると思います。自然の変化に着目した取り組みなども増えていくと思います。できることから、そしてもちろん楽しみながら、子どもたちとともに「自然に生かされるとは?」に触れていこうと思います。

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