「子どもにとって必要な食事とはどんなものなんだろう?」
このことを保育に関わり始めてからずっと考えていました。
食べ方、食べさせ方、野菜の栽培活動からクッキングなど、
そんな情報はたくさんあったのですが、
“何を食べるか”の情報が以外と少なくて、
あったとしても、まるでレストランのメニューのような内容だったりで、
これだ!というものになかなか出会えずにいたんです。
そんな悩みを抱えていたある日、保健所の方による監査がありました。
いろんなことをチェックしてもらい、最後に献立等のチェックが。
その時の担当者が言われたことに軽い衝撃を受けたことを
今でも鮮明に覚えています。
「カルシウムが少し足りないですね。
そんな時は牛乳をいろんな料理に入れてみるといいですよ。
例えば酢の物に牛乳を入れるとか…。」
牛乳を入れるとより美味しくなるとか、より食べやすくなるとか、
そんな話ならまだ分かるのですが、
カルシウムが足りないから酢の物に牛乳を…です。
こうした考えで作り上げていった食事が
果たして本来の食事のあり方なのかと
その言葉を聞いた後、何度も何度も考えました。
栄養素について考えることが無駄だとは思っていません。
でも栄養素から献立を考えることも行き過ぎると、
ちょっと極端ですが行き着く先は
『必要な栄養素を確保できるだけのサプリメントの摂取で十分』
なんてことになってしまうと思うんです。
食事ってそんなものじゃないですよね。
その時期にとれるものやその土地でとれるものを
いかに美味しく食べていくかという知恵を
私たちはたくさん受け継いできているはずです。
その時期にとれるものには
その時期に必要なものがたくさん詰まっている、
その土地でとれるものには
その土地で暮らす人にとって必要なものがたくさん詰まってる、
そんな大きな視点で食を考えることが
今は欠けてきているのかなあと思ったりもします。
そんな視点の中に子どもたちの食を考える上での大きなヒントがあると、
あらためて考えさせられたわけです。
ずいぶん前の話ですが、
思い出したので書いてみました。
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