2011年10月2日

能の世界の奥深さ

昨日、生まれて初めての能を見に行ってきました。
いやー、楽しかったです。
見るまでは「能のことも何にも知らないし、楽しめないかも…」
なんて考えていたんですが、
何にも知らなくても見ているだけで心が動いてしまう
そんな体験をさせてもらいました。

能が始まる前に内田樹さんのとても興味深いお話がありました。
「能って、『自分が自分が!』って動くんじゃなくて、
舞台とか周りの大鼓や小鼓や笛の人、さらには見所の人(お客さん)
それらが作り出す場の力を感じて、それに引っ張られるように動くんです。
一流と言われる人たちは場が作り出す濃密な空気を全身で感じ、それに反応して、
「自分の力で」ではなく場の力によって動かされるといった感じで。」

正確ではないですが、だいたいそんな感じだったと思います。

これって人と人とのあり方もこんなことが大事なんじゃないか、
お話を聞いていてそんなことを考えていました。
一人ひとりが超人のような能力を身につけて
自分の能力を活用してバリバリ活躍する、
そんなことが理想とされたときも確かにあったと思います。
でも今の社会を見ていると、それだけじゃあいけないんじゃないかと。

いろんな人がいろんな特徴を持っていて
そんな人たちが集まって様々な集団をつくっているのが社会。
それぞれの役割を尊重しながら、それぞれの役割を生かしながら、
その中で自分をどう表現するか、自分の役割をどう果たしていくか。
社会のいろんな人とつながっているという感覚をもって
その人たちとの関係の中で自分というものを模索してみるとか。

自分が自分が!といった完全に他から独立した強さを求めるよりも
いろんな人との関係性、つながりをもとにした個の確立や自立が大事だと
能の舞台を見ていて感じました。
個性を抑制するわけではなく、逆に個性が共に支え合っている。
昨日の能はまさにそんな感じでした。
そんな関係性ができてきた先には、手を貸すとか守るとか、
そんなことが自然にできるようになると思うんですよね。
能って思っていたよりはるかに奥が深かったです。


2 件のコメント:

  1. 以前コメントの投稿がうまくいかず、今回再チャレンジです。
    もう少し大人になったら、能の世界を見てみたいなぁと思いました。書かれているようなつながり、深いですね。

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  2. yukikoさん、能の世界はぜひ体験してみてください。長く長く続いている文化には、続くだけの理由があります。どんな理由かは分かりませんが、「ある」ということだけは感じられると思いますよ。

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