「世界一素敵な学校」という本があります。そこで紹介されているのはサドベリー・バレーという学校です。この学校にについて、作家の高橋源一郎さんはこのように書かれています。
この学校には、カリキュラムがない。試験がないから、採点はないし、通知表もない。学年もクラスもない。いわゆる「教室」もない。当然のことだけれど、卒業証書もない。後で詳しくいうことになるかもしれないが、「先生」も「生徒」も存在しない。あるのは、子どもたちの「完全な自由」だけだ。
この学校には、決まった「授業」はなにもない。だから、子どもたちはずっと、好きなことをする。ずっと釣りをしたり、ずっとゲームをしたり。でも、おとなたちはなにもいわない。ただじっと待つのである。ある日、9歳から12歳の子どもたち12人が、ひとりの「おとな」のところにやってきた。
「足し算、引き算、掛け算、割り算、算数ならその他なんでも教えてくれと頼んできたのだ」「本当はやる気ないんじゃないの?」「いや、本気だよ。算数をマスターしたいんだよ」。というわけで、いままで算数を習ったことのない子どもたちと「おとな」は「協定」を結ぶのである。
その「協定」の中身は、☆時間を守ること。☆約束の時間に5分でも遅れたら、その日の「授業」はなし。☆それが2回続いたら、その「授業」は永遠に中止。その「協定」を守ることを誓って、「勉強」が開始される。その集まりを、ここでは「クラス」と呼ぶのである。
さて、その結果はというと、通常6年かかる、算数の全教程が、二十四週、週2回30分ずつ、トータル24時間で終了してしまう。これがいつものペースだ。そして、子どもたちは一度も約束を破らない。彼・女たちを教えた「おとな」は、こういうのである。
「教科それ自体は、そんなに難しくないんです。では何が算数を難しく、ほとんど不可能にしているかというと、嫌で嫌で仕方ない子どもたちの頭に、無理やり教科を詰め込んでいく、あのやり方のせいです。…毎日毎日、何年もの間ずっと、少しずつハンマーでたたき込んでいけば…」
この学校の創立メンバーであるグリーンバーグ氏の教育観はこうです。
ひとびとは生来、好奇心に満ちている。その好奇心を自ら自由に追い求めることができるとき、持続する関心と究極の満足が生まれるであろう。彼・女らの、物事に対する初源の関わりが育まれ、高度な探求へと成熟する機会に恵まれたとき、彼・女らはその分野において、最も深く興味を抱き、最も強く学び、最も集中することになるだろう。
あさり保育園で大事にしていることに「好奇心」があります。好奇心を高めることで自発的な学びの欲求が生まれてくるという考えです。それをもっと大きなスケールで実践しているサドベリー・バレー校に強く興味が湧いてきました。
また、特に興味をもったのが遊びに対しての考え方です。本にはこう書かれていました。
遊びによって学んでいるもの、それは集中する能力なのです。関心を1点に集中させる力です。中途半端に終わらない、ひたむきさなのです。倦むこともなければ、急ぐこともないひたむきさ。せっかくの関心を自分から腰砕けさせない、集中の持続なのです。こうした「遊びのレッスン」は、人生のなかできっと役立つものなのです。
子どもは遊びを通して学んでいる、遊びと学びはコインの表と裏、私たちもそんな風に遊びを捉えているわけですが、その点でも思いに違いはないようです。
一度訪れてみたい場所が、また増えてしまいました。
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