今回は「褒める」ことについて。子どもは褒めて育てた方がいいとか、あまり褒めすぎない方がいいとか、いろんな話を耳にすると思います。子育て真っ最中のみなさんは、「今は褒めて良かったんだろうか?」「今の褒め方で良かったんだろうか?」と何度も悩んだ経験があるんじゃないでしょうか。がんばったことやできるようになった喜びを忘れないでほしい、そしてまた次のことに挑戦してもらいたいという思いから褒めることは、誰もが同じ思いだと思います。でも褒め方によってはその後の子どもに大きな影響があることが、実験によってわかっています。できた結果を褒めるのと、できた過程を褒めるのとでは、どんな違いがあるのを調べたものです。
その実験とは、子どもたちに新しい問題を見せて、新しい問題に挑戦するか、同じ問題をもう一度解くのか、どちらかを選ばせるという内容です。すると2つのグループの間で明確に差が現れました。まず頭の良さを褒めたグループは、新しい問題を避け、同じ問題を解こうとする傾向が強くなったというのです。ボロを出して自分の能力を疑われるかもしれないことは、一切やりたがらなくなったのです。一方、努力を褒められた子どもたちは、その9割が新しい問題にチャレンジする方を選び、学べるチャンスを逃さなかったのです。つまり努力した過程を褒めると、子どもは努力する事に喜びを感じるようになるということが分かったのです。
その後のテストでも驚くべき結果が出ています。難問が出された後、頭の良さを褒めたグループは成績ががくんと落ち、再びやさしい問題が出されても回復しませんでした。自分の能力に自信がなくなり、スタート時よりも成績が落ちてしまったのです。一方、努力を褒めたグループの出来はどんどん良くなっていきました。難問に挑戦した事でスキルに磨きがかかり、その後再びやさしい問題が出されたときにはスラスラ解けるようになったのです。この実験によって、能力を褒めると生徒の知能が下がり、努力を褒めると生徒の知能が上がるということが分かりました。
この実験結果を読むと、確かにそうだよなあと思います。そして、褒め方によって努力も結果も得られなくなるということには驚かされます。ついつい結果を褒めてしまうこともあるとは思いますが、そのことによって子どもが何を受け取るのかを考えておいた方が良さそうです。そして褒めることについては、子どもは本来褒められることを期待して行動しているのか?という話もあります。これについても実験結果がありますが、ややこしくなりすぎるのでまた別の機会で。
二十四節気
夏至…一年のうち昼間の時間が一番長い。
夏至(げし)とは、一年でいちばん日が長く、夜が短くなる頃。気温が上がり、暑さは日に日に増していきますが、日照時間は冬に向かって少しずつ短くなっていきます。
七十二候
2015/06/22
初候 乃東枯(なつかれくさかるる)
冬至の頃に芽を出した「靫草(うつぼぐさ)」が枯れていく頃。色鮮やかな夏の花が開花するという時期に、枯れていく花に思いを寄せた、古人の優しさを感じる言葉です。
2015/06/27
次候 菖蒲華(あやめはなさく)
アヤメが花を咲かせる頃。アヤメが咲くと、梅雨到来といわれていました。アヤメ、ハナショウブ、カキツバタはよく似ており、非常に見分けがつきにくいです。
2015/07/02
末候 半夏生(はんげしょうず)
半夏(からすびじゃく)が生える頃であり、半夏生の名をもつ草の葉が白く染まる頃。農事の節目ともされており、田植えを終わらせる頃です。
「暦生活」より
二十四節気
芒種…芒種は稲や麦などの種。種播きの時期。
芒種(ぼうしゅ)とは、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く頃のこと。稲の穂先にある針のような突起を、芒(のぎ)といいます。この頃から、雨空が増えていきます。
七十二候
2015/06/06
初候 螳螂生(かまきりしょうず)
秋に生みつけられた卵から、かまきりが誕生する頃。かまきりは農作物には手をつけず、害虫を捕まえてくれる、私たちにとってありがたい存在です。
2015/06/11
次候 腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)
ホタルが暗闇に光を放ちながら、飛び交う頃。きれいな水辺に住んでいると思われがちですが、野原でも蒸れて腐りかけた草の下で、明かりを灯し始めます。
2015/06/16
末候 梅子黄(うめのみきばむ)
梅雨入りと同じくして、梅の実が薄黄色に色づく頃。梅雨という言葉は、梅の実が熟す頃の雨という意味です。黴(カビ)が生えやすい季節なので、「黴雨(ばいう)」と書くこともありました。
「暦生活」より
書き終わった後に気が変わり、配布するのをやめた文章です。
今なにかと話題になっている憲法には、『基本的人権の尊重』について書かれています。細かく知っているわけではないので大雑把な捉え方になりますが、基本的人権は誰もが持っていて、誰からも侵されることのないものということです。どんなことがあっても尊重されなければいけないものです。でもこれには例外あって、自分の人権と他者の人権が対立するようなケースでは、「どちらも全て尊重する」では前に進めないので落としどころを見つける作業が必要になるわけです。
今度は「子どもの権利条約」の話に移りますが、この条約の第13条「表現の自由」には次のようなことが書かれています。「子どもは、自由な方法でいろいろな情報や考えを伝える権利、知る権利をもっています。」子どもは何も知らないからといって大人の言う通りに動かすのではなく、自由に意見を表したり、自由な活動を行ったりできるようにしなければなりません。でも「ただし、ほかの人に迷惑をかけてはなりません。」とも書かれています。自由に表現する権利はあるけれど、当然他者の権利を尊重したものでなければいけません。個人は尊重するけど、同じように他の個人も尊重する。他者に迷惑をかけたり危害を加えたりするようなものまで尊重するわけではありません。他者と共に生きている社会を考えると当然のことですよね。
これは保育園でも同じで…と書くと何だか無理やりな話のようにも思えますが、でも原則は同じです。個人の人権は尊重する、でもそれが他人の迷惑になるようであれば根気強く伝えていき、その考えを自分のものとして行動に移していけるような力をつけてもらうことを、私たちは考えています。でもこれが簡単なことではないんです。子どもはみんな違っていますし、理解の仕方やそのスピードも全然違います。だからその違いを丁寧に捉え、その上で試行錯誤しながら伝えていく必要があります。そしてこれは1人で学ぶものではなく、他者との生活の中で、言葉ではなく体験から学ぶものです。となればその過程でいろいろな衝突が起こります。でもそれは単なる衝突ではなく、必要な「学び」だと私は考えています。自分は“思い通り”にやりたい、でも相手の“思い通り”とぶつかってしまって葛藤したり、時にはケンカになってしまうこともあります。私たち大人は、もちろん衝突を小さくするための関わりを持ちながらですが、その経験を大事にしてあげるべきだと思います。そのような理解のもとで、「社会で生きる」ことの基礎を学ぶ場を保障してあげたいと考えています。両者にしっかりと目を向け、互いの人権を尊重するための落としどころを見つけるサポートができる、そんな保育園でありたいと思っています。

子どもたちの様子を見ていると、「今すごく興味が湧いているんだろうな」と思う瞬間があります。例えばある日のきりん組のYちゃん。壁にかけてある「あいうえお表」を長い時間ジーッと見つめていました。文字に対しての興味が強くなっている時期なんでしょう。このように興味を持ったときがその対象に取り組むいいタイミングと言われていて、その時の吸収力はビックリするくらい高いことを大人も体験済みだと思います。では同じクラスの子が同じタイミングでYちゃんのように文字に対して興味を示すかというと、そうではありません。興味を持つタイミングや持ち方は子どもによって様々です。つまり取り組むのに効果的なタイミングも子どもによって様々なわけです。あさり保育園の環境は、興味を持ったときにはすぐに取り組むことができるよう、日頃から様々なものが子どもたちの手の届く場所に用意してあります。興味を持ったタイミングに取り組め、そこから更に興味を広げていくことを大切にしている環境です。
保育園の環境について書いたので、続けてもう1つ紹介します。上に書いたように興味を持ったときにすぐ取り組めるだけでなく、その環境があることで新たな興味が湧いてくることも目指しています。6月中にはオープンできると思いますが、科学の実験の場が園内のある場所に出来上がりつつあります。ここには実験の手順が書かれたカードを置いておき、その中から子どもたちがやりたい実験を選んで自分たちで取り組めるようにしていく予定です。また、例えば水に関心を持ってもらいたいときは水の実験道具を置いてみたり、光に興味をもってもらいたいときはそのための道具を置いてみたりと、好奇心を刺激し興味を引き出す場としても活用していけたらと考えています。
子どもはある対象に興味を持つと、ジーッと見たり真似をしたりといった行動を起こします。この「興味を持って見る」ことが子どもの興味に発達にとっていかに大切なのかは、昨年度の成長展で子どもたちの姿を通して整理したものを作って示してきました。遊戯室に貼ってある大きな紙がそれで、赤ちゃんの頃から友だちや身近な大人を見て真似をすることは、大きくなっていくにつれての「ごっこ遊び」の発展には欠かせないという内容のものです。今年度はそこから特に「真似る」ことや「共感」に焦点を当て、子どもたちの持っている力を考えていくことにしています。相手のことを想像する、助けるといったことは他人と協働していくために絶対に必要です。その力を赤ちゃんのときからどう伸ばしていくのか、考えを深めて保育に生かしていこうと思います。