2015年6月26日

No.401 結果と過程のどちらを褒める?

今回は「褒める」ことについて。子どもは褒めて育てた方がいいとか、あまり褒めすぎない方がいいとか、いろんな話を耳にすると思います。子育て真っ最中のみなさんは、「今は褒めて良かったんだろうか?」「今の褒め方で良かったんだろうか?」と何度も悩んだ経験があるんじゃないでしょうか。がんばったことやできるようになった喜びを忘れないでほしい、そしてまた次のことに挑戦してもらいたいという思いから褒めることは、誰もが同じ思いだと思います。でも褒め方によってはその後の子どもに大きな影響があることが、実験によってわかっています。できた結果を褒めるのと、できた過程を褒めるのとでは、どんな違いがあるのを調べたものです。

その実験とは、子どもたちに新しい問題を見せて、新しい問題に挑戦するか、同じ問題をもう一度解くのか、どちらかを選ばせるという内容です。すると2つのグループの間で明確に差が現れました。まず頭の良さを褒めたグループは、新しい問題を避け、同じ問題を解こうとする傾向が強くなったというのです。ボロを出して自分の能力を疑われるかもしれないことは、一切やりたがらなくなったのです。一方、努力を褒められた子どもたちは、その9割が新しい問題にチャレンジする方を選び、学べるチャンスを逃さなかったのです。つまり努力した過程を褒めると、子どもは努力する事に喜びを感じるようになるということが分かったのです。

その後のテストでも驚くべき結果が出ています。難問が出された後、頭の良さを褒めたグループは成績ががくんと落ち、再びやさしい問題が出されても回復しませんでした。自分の能力に自信がなくなり、スタート時よりも成績が落ちてしまったのです。一方、努力を褒めたグループの出来はどんどん良くなっていきました。難問に挑戦した事でスキルに磨きがかかり、その後再びやさしい問題が出されたときにはスラスラ解けるようになったのです。この実験によって、能力を褒めると生徒の知能が下がり、努力を褒めると生徒の知能が上がるということが分かりました。

この実験結果を読むと、確かにそうだよなあと思います。そして、褒め方によって努力も結果も得られなくなるということには驚かされます。ついつい結果を褒めてしまうこともあるとは思いますが、そのことによって子どもが何を受け取るのかを考えておいた方が良さそうです。そして褒めることについては、子どもは本来褒められることを期待して行動しているのか?という話もあります。これについても実験結果がありますが、ややこしくなりすぎるのでまた別の機会で。

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