2017年8月25日

No.507 まだまだ変わります


「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

俵万智さんのサラダ記念日にこんな詩がありました。かなり季節外れですが。久しぶりにこの詩を読んだとき、これって子どもに寄り添う保育者の姿じゃないかなと、そんなことを思いました。

「子どもたちは白紙の存在で生まれてきて、そこに大人がどんどん知識を植え付けてあげる」過去の子ども観はこんな感じでした。でも今はいろんな研究によって、「子どもたちは様々な力を持って生まれてきて、それを引き出してあげることが大事」だと分かってきました。そうなると、子どもたちにあれこれ指示をしてやらせるのではなく、子どもたちが持っている力を信じ、その力を引き出すための環境を用意し、自分から行動していくためことが大人の役割だと言えます。その存在のことを安全基地と呼んだりするのですが、その安全基地とは何かを考えることがよくあります。大人の視点で、大人の判断で子どもたちの行動をサポートするのとは少し違い、子どもが育つために必要なことは子ども自身がよく分かっているから、子どもからの働きかけを待てばいい、その働きかけに対してきちんと応えてあげればいい、そんなスタンスで子どもを見守る存在のことなんじゃないかと思っています。子どもが求めることに即座に答えてあげることや、子どもの思いに適切に共感してあげることが安全基地としての存在であり、その存在であることが保育者としての役割なんじゃないか、そんな風に考えています。最初に紹介した詩のように、子どもが「今日は暑いね」と言ってきたら「暑いね」と答えたり、「こんな虫を見つけたよー!」と走ってきたら「すごいね、よく見つけたねー」と答えたり、「今日は何もしたくないなー」と言ったら「そうかー、何もしたくない日かー」と答えたり。そんな存在がちゃんといてくれると子どもが実感できると、その存在によって安心して自分の感情を受け入れることができ、自信を持って行動し、そして成長していくと思うんです。

なぜこんなことを書いているかというと、あさりこども園のスタッフが、自分たちの「子どもの力を信じる」や「保育者の役割」について、根本的なところから見直そうと動き始めているからです。今まで子どもを信じていなかったわけでも、保育者の役割を掴めていなかったわけでもありません。そうではなく、次のレベルで自分たちの役割を考え直そうとしてくれているんです。形が見えてくるのはもう少し先かもしれません。でも子どもたちの姿に変化が出てくるはそんなに先の事ではないと思っています。その姿を見ることで、私たち保育者にできることはまだまだ山のようにあると、たくさんの気づきを与えてくれると思っています。あさりこども園はまだまだ変わっていくとしつこく言ってきましたが、今回はかなりの変化になるはずです。その変化をうまく伝えることができるか自信はありませんが、発信だけはいろんな形でしつこく続けていくつもりです。



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