節分について整理する必要があったので、以前読んだ「日本人が忘れた季節になじむ旧暦の暮らし」を読み返してみました。
立春を正月と考える習慣は改暦にも関係ないことです。毎年たいてい2月4日にめぐってきます。前日の節分はいわば大晦日。ちなみに節分は立春だけでなく、立夏・立秋・立冬の前日にもあるのですが、立春の前日だけが習慣として残っているのは、大晦日としての要素がかすかに残っているからではないでしょうか。古来朝廷では「大儺(たいな)」(奈良朝では「大儺」で9世紀以降には「追儺(ついな)」という言葉が使われるようになった)として大晦日に悪鬼を祓う行事が行われてきましたが、いつのころからか節分の豆まきによる「鬼やらい」と同化するようになりました。
節分を大晦日と捉えていたのはおもしろいですね。春になる前日が大晦日というのは、受け入れやすい人も多い気がします。
そして、節分を考えるときに一緒に考えたいのが「土用」。節分と同じく土用も年4回あるんですが、一般的になっているのは夏の土用だけじゃないでしょうか。それ以外の土用は残念ながら習慣とはなっていません。もちろん私も意識したことはありませんでした。
もともと土用とは、暦の雑節である立春・立夏・立秋・立冬直前のおよそ18日間のことをいいます。立春・立夏・立秋・立冬の前日が「節分」です。このうち立春直前の冬の土用のことを「寒土用(かんどよう)」ともいい、冬の季語(晩冬)となっています。ちょうど二十四節気の大寒ともほぼ重なっていて、1年でもっとも寒さの厳しい、しかしその中にもほのかに春の兆しを感じる時期といえます。
節句と合わせて土用のことにも注目していくとおもしろそうです。例えば夏の土用のように、その時期ならではの食べ物をくっつけて体験してみるとか。寒土用だと、例えば葛粉(くずこ)。
葛粉とわずかな黒砂糖をお湯に溶き、すり下ろした生姜を少しだけ載せてゆっくり味わっていると、寒さが生み出すうまみや純粋さというものをたしかに感じるのです。少々の風邪なら、これだけで飛んでいってしまうほどです。
葛湯はとろみがあるために冷めにくく、体が温まり、消化にも良いため、昔から離乳食としても利用されていました。2月3日の節分では、生姜が苦手な子は多そうなので、生姜抜きのものをみんなで味わってみるのもいいかもしれません。
『日本人が忘れた季節になじむ旧暦の暮らし』千葉望
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