2017年3月10日

No.485 新しい関係の中で

個人的に興味を持つようになり、いつか行ってみたい国の1つであるキューバの話から。細かいことには触れませんが(間違いもあるかもしれません)、キューバは「国民1人に付き、1人の家庭医を作る」とスローガンを掲げ、日本とは比べものにならない数の家庭医がいる国です。家庭医は日本の医者とは違い、文字通り家庭をまるごと診る医者のこと。病気はもちろん様々な部位の問題ではありますが、家庭でどんな生活を送っているか、どんな関係性の中で生活をしているか、そこにも原因はあると考えて関係性や生活全体にも介入していくのが役割だそうです。すぐにピンとはこなかったのですが、よくよく考えていくと、○○が痛い、△△の調子が悪いというのは生活や関係性からきているものも確かにあるよなあと、私自身にも思い当たるところがあったりします。

もう1つ、「自我」の話を。自我とは文字通り自分のことですが、この自我の意識は他との関係性の中でしか発動しないものだそうです。自分というものは自分1人で成り立つものではなく、様々なものとセットになり、寄りかかっていなければ成り立たない。自分というものを認識し育てていくためには、他者との関係が非常に大事だということです。なかなかややこしい話ですが、これも分からなくはない話です。キューバの話、自我の話、どちらにも共通しているのは「関係性」が大事だということです。

あさり保育園で大事にしていることも、この「関係性」です。私たちの行っている保育、さらに深めていきたいと考えている保育は、『子ども同士の関係性を作る』保育といってもいいかもしれません。大人が「困った時にはいつでも助けてあげる」という安全基地となり、その安心感を元に自ら活動し、子ども同士の様々な関係性の中で刺激しあって発達を遂げていく流れを保育園の中で作っていくために、試行錯誤しています。私たちは周りの人から様々な影響を受けています。一緒に活動する人が変わっただけで考え方に変化が生まれます。人は変わらず同じ関係の中であっても、自分の立ち位置や役割が変わっただけで視点が大きく変わったりします。4月に小学生になる年長児は全く新しい関係の中で生活することになりますし、年長児以外の子も新入児を迎えて新たな関係が始まります。また、今までは刺激を受けることが多かった子が、今度は与える側に回るなど、役割も変化してきます。常に変化する子ども同士の関係をより多様にすることが役割の保育者も、4月から新たなチームとなって動き出します。多様な関係性の中で少しでも多くの刺激が受けられるような、できるだけ“ごきげん”に活動できるような、そんな保育を目指し続けることは『あさりこども園』になっても変わりません。保護者のみなさんとの関係も当然重要です。今後も引き続きご協力をお願いします。

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