2012年3月15日

No.236 ジムシツデビューのはなし

事務室にいると、時々「えんちょーせんせー!」と子どもたちが遊びにきます。おもしろい遊びを考えたときとか何か発見したときとか、そんなときに子どもたちが競うようにして、そして誇らしげな表情でやってきたりします。こんな風に事務室に顔を出してくれる子は結構多く、そのパターンにもいろいろな種類があります。例えばこの時期に必ずといっていいほど見られる2歳児の姿は特徴的です。「えんちょーせんせー!」と手を振りながら声をかけてくれたかと思うと、すぐにどこかへ行ってしまいます。私はこれを「事務室デビュー」と1人でこっそり名付けています。

この『事務室デビュー』という行動自体はほんの一瞬のものなんですが、子どもにとっては意味のある行動なんじゃないかと考えています。というのも、この行動を行うのはほとんどの場合一時期のことで、その時期を過ぎるとほとんど見られなくなるからです。今は移行の時期です。それまではある程度限られた活動スペースだったのがグッとそのスペースを広げていきます。その楽しさからか、広がった生活場所の一角にある事務室に顔を出すときはとても誇らしげな表情をしています。

「今から自分は新しい体験をどんどんしていくから見といてね!」そんなメッセージを投げかけてくれているようにも見えます。子どもの成長への意欲も感じます。で、その生活にそろそろ慣れてくるんじゃないかなあという頃には、顔を見せることはほとんどなくなります。だいたい毎年同じような時期にはじまり同じような時期に見られなくなる、そんな子どもたちの変化を見ているとなんだか嬉しくなるんですよね。

他のパターンには、例えば見守られていることを確認するためにのぞきに来るということもあると思っています。子どもが自発的に活動するためには「いつでも見守ってくれている」と安心感を感じることが大事です。その「見守ってくれている」と子どもが感じられる存在は、保護者や保育者、そして友達であったりと様々で、その1つの存在として事務室にいる私も含まれるのかなあと思っています。いつも事務室にいるわけでもありませんが、顔を出しに来る子に対して「安心して遊びに行っておいで」という思いを届けてあげたいなあと、いつも思います。
この話、たいした話でもないのですが、いつか書きたいと思っていたので書いてみました。

来週は卒園式、そしてすぐに4月がやってきます。今のぞう組さんのジムシツデビューが懐かしく感じられます。

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