2014年7月26日

夏祭り2014




夏祭りが終わりました。

今年の夏祭りは約330人の参加がありました。10年くらい前は550人を越える参加がありましたが、その数は年々少なくなっています。これを「魅力がなくなった」と捉えることもできるかもしれませんが、私はそうは思っていません。

以前の夏祭りは地域の祭りという位置づけでもあったように感じています。たくさん来られる地域の方に対してどんなことができるか、するべきかと考えることが多かった気がします。それが良くないわけではありませんが、子どもたちのための夏祭りという意味合いがどうしても薄くなってしまっていることに対して、果たしてこのままでいいんだろうかと悩んでいたのは事実です。夏祭りという行事が、子どもたちにとって、また保護者にとってどのような意味を持たせた行事であるべきなのか、ずっと考えていました。

今回は石見神楽のようなイベントをやめ、代わりに子どもたちが積極的に参加してくれなければ成り立たない相撲大会を行いました。そのために2ヶ月くらい前から相撲の取り組みを保育の中でも行ってきました。果たして今回の相撲が良かったのかどうかはまだ分かりませんが、当日の大会も当日までの取り組みも子どもたちは楽しんでくれていたと思っています。

今回の夏祭りがどうだったのか、これからゆっくりと検証していきます。そして今後の夏祭りも「子どもたちが主体的に関わることのできる」内容で、「あさり保育園ではどんな考えでどんな保育を行っているか」を地域の方に知っていただくことのできる、そんな行事として作り上げていきたいと思っています。今回の検証から来年度以降の具体的なヒントが見つかり、そこからアイデアが広げていくことができればいいんですけどね。

ちなみに今回の相撲のアイデアはスタッフが考えて出してくれたものです。夏祭りのあり方について、私よりもずっとずっと深く考えてくれているようで、それが感じられて嬉しかった夏祭りでもありました。

2014年7月25日

No.355 ルールの必要性を学ぶ




ある日のことです。4歳児のKくんが、どのゾーンが使えるかを示すボードの前に座り込んでじーっとしていました。どうしたんだろう?と思い近づいてみると、「あ〜あ、積木がしたかったなあ〜。」と一人でつぶやいています。Kくんは積木遊びが好きで、でも積木ゾーンにはバツ印がついていたため残念がっているようでした。そこへ他の子がやってきてKくんのつぶやきを聞き、「先生に『積木ゾーンを○にして!』って言ったらいいんだよ。言いに行ってきたら?」とアドバイスをしています。いいやり取りをしているなあと、感心しながらその様子を見させてもらいました。

「あさり保育園の子どもたちは自由に好きなことができるからいいですね」といわれることがあります。制約が少ないという意味で言われることが多いのですが、私たちは制約が少ないのではなく、「子どもたちがお互いにきちんとルールを守っているからこそ好きなことができている」と考えています。ルールがあることの大切さは、他人の言うとおりに行動していたり、止められてやめたりするだけではなかなか理解できないものです。自由に好きなことができる環境があるからこそ、そこにあるルールの必要性を感じ、お互いにルールを守ることの意味を学んでいくと考えています。

子どもたちが活動する場には、自分のやりたいことを実現できるゾーンがいくつも用意してあります。積木遊びをしたいときは積木ゾーン、体をしっかりと動かしたいときは園庭や遊戯室、といった感じです。では、自由だからといって積木ゾーンで積木遊びをしている子がいるのにそこで走り回っていいかというと、決してそんなことはありません。お互いに自分のやりたいことが満足にできないのは明らかですよね。そんな環境であるからこそルールの必要性を感じ、互いに守ることの意味を理解していくわけです。

ではそのルールに従うだけかというと、それはまた少し違います。お互いのやりたいことをジャマしないものであり、他にしなければいけない予定がなければ、「今日は積木がしたいから積木ゾーンを○にして!」と頼んできたことは受け入れるようにしています。そんな風に子どもたち自身がルールの運用者として行動することも、ルールを学ぶ上では大切なことです。今は多くの子がルールを学んでいる最中なので、Kくんにアドバイスをしてくれた子のような存在は大事です。自由に活動するために必要なルールを子どもたちが学び合っている過程を見て、なんだか嬉しくなりました。

2014年7月20日

ピクニックラン桜江2014とポイ捨ておっちゃん




ピクニックラン桜江21kmに参加してきました。地元の大会なのでできる限り参加しようと思っていて、今回が3回目です。相変わらず山道は厳しいけど、隠岐のウルトラマラソンの山を思えばたいしたことはありません。しんどかったけど。タイムは1時間57分53秒。道中ではたくさん応援してもらいましたし、エイドの美味しいスイカもたくさんいただき、しっかりと楽しませてもらいました。


今回は最初の6kmくらいは裸足で走りました。曇ってはいたけど路面は熱くなり始めていて、足裏に負担をかけないように白線の上を走ることに。追い抜く時だけ白線から離れて、抜いたらまた白線に戻る、の繰り返しです。だんだんと白線から離れると熱さを強く感じるようになってきたので、多少ペースが落ちても白線の上でガマンする時間が続きました。そんなときの出来事です。


前を走っていたおっちゃんが飲み終わったペットボトルを道路脇の藪にポイッ。「は?ウソでしょ?」と思っていると、直後には持っていた紙コップもポイッ。あまりにもひどい態度だったので「おいっ、捨てるなよー!(怒)」と叫んで紙コップを拾いにいってから追いかけました。でも、スピードを上げるために白線から離れると足裏が熱く、すぐに白線に戻る…を繰り返すしかなかったので全然追いつけません。情けない話です。でもありがたいことに、別の方がそのおっちゃんに注意しにいってくれていました。


しばらくしてから注意してくれた方と並走することになったんですが、その方は隠岐のウルトラマラソンでもお会いした方で、「隠岐のウルトラマラソンはいい大会ですよねー。来年も出たいですねー。」などととても盛り上がってしまい、ポイ捨ておっちゃんのことは忘れてしまってました。


何の話かわからなくなりましたが、ポイ捨てはよくないです。ちゃんとゴミ箱に捨てないといけません。当たり前のことだと思うんですが、当たり前とは思ってない人がいるんですね。びっくりです。来年は一人クリーンキャンペーンでもしようかな。

2014年7月18日

No.354 突然の雨を楽しみました




木曜日の午前中のことですが、突然激しい雨が降り始めました。体操を済ませてさあ今からプールへ!と意気込んでいた子どもたちでしたが、残念ながらプールは中止です。プールに入りたかった気持ちを切り替えられたかなあと様子を見に行くと、雨樋からあふれ出てくる水を興味深そうに観察したり、園庭にあっという間にできた川のような水の流れを見たりしています。プールは中止になったけど、子どもたちの好奇心はすぐに雨へと移り、それを楽しむことに集中していました。

「ザーッとすごい音がした」とか「特急みたいな速さの雨だった」とか、その時の雨について耳で聞いたことや目で見たことを話したり、雷の音を身振り手ぶりを交えて表現している子どもたちの様子を見ながら、やっぱり子どもたちが自然に触れることって大事だなと感じました。例えば激しい雨は、いつも見ている園庭の姿をあっという間に変えてしまうくらいの大きな変化を生み出します。これは人間にはできないことです。その変化に対して子どもたちは興味を持ちますし、その様子に不思議さを感じます。そして感じたことを言葉や体を使って表現せずにはいられなくなります。

身の周りのことに興味を持ち自ら働きかけることや、感じたことを様々な方法で表現することは、保育の中でも大事なところです。自然に触れ、その変化を感じられる場面に接する機会は、大事にしていかないといけないですね。また、今回感じたような水の不思議さを遊びで再現することも大事なことです。雨樋を使って水の流れを作ったり遠くまで水を流したり、水が流れているところに堤防を作り、それを決壊させて楽しんだり。水が高いところから低いところへ流れることを繰り返し体験したり、水をいろんな大きさの容器に入れてその重さの違いを感じたり。これから本格的な夏がやってきます。水を使った遊びが広がっていき、そして深まっていくことを楽しみにしています。

あと1週間で夏祭りです。来週に入ったら梅雨も明けるんじゃないかと勝手に予想していますが、園庭で気持ちよく行えるといいですね。ぞう組さんが企画・運営をする「魚釣りコーナー」も順調に準備が進んでいます。役割分担や、当日どのように楽しんでもらうかも決まったようです。ぞう組さんは1ヶ月以上も前から話し合いをして準備をしてきたわけですが、計画通りにいかないこともあるかもしれません。でもそれも大事な経験です。当日をどう楽しみ、どう乗り切るか。そんなことにも是非注目してみてくださいね。



2014年7月17日




こんな石が置いてある場所を園庭に作る計画を立てています。
たくさん敷き詰めるんじゃなくて、少しです。


この石の上に乗って、
土とは違う感触を味わってもらおうと思います。
この石の上にこけると痛いので、
うまくそれを避ける術を身につけてもらおうと思います。


この石が敷き詰めてある場所だけじゃなく、
もう少し小さい石が敷き詰めてある場所があっても
また違う感触を楽しめておもしろいかもしれませんね。

山陰中央新報のコラム

山陰中央新報に興味深いコラムが載っていました。
おもしろい流れを生み出しそうなので、記録用として載せておくことに。


2014年7月14日(月)山陰中央新報 明窓

給食にご飯が出るようになったのは、35年くらい前の小学校高学年のころだっただろうか。
パンのときと同じく牛乳がついてくるのを変に思った記憶がある。
家ではなかった組み合わせだったからだ。
結局、どちらも美味しく食べ、飲んでいたが。

新潟県三条市が今年12月から4カ月間、市立小中学校の給食で牛乳を出さないことを決めた。
同市は完全米飯給食で「ご飯に牛乳が合わない」との意見を取り入れたそうだ。
成長に必要なカルシウムが不足するとの声もあり、賛否は分かれている。

以前、食育連載の取材で島根県内の学校給食を見て回った。
「合わない」と思う献立はあった。
あるところは週1回のめんの日に多くの場合、ミニパンをつけた。
主食を補うためだが、きつねうどんにココアクリームパンという組み合わせには、
決して模範的と言えない食生活の筆者も正直、驚いた。

献立を考える人のセンスはあるかもしれない。
が、定められた栄養を満たしつつ、児童生徒が残さないように食べる楽しみを工夫。
地産地消や、つながりのある業者を大切にしたいという事情を抱え、
日々の献立を考える苦労は想像できる。

家によって受け止め方も違うだろう。
食生活にこだわる家庭から見れば「ありえない献立」の給食も、
無頓着な家庭には「唯一のまともな食事」であったりする。

各家庭には学校から献立表が届く。
ホームページに毎食の画像を掲載する給食センターもある。
子どもたちがどんな給食を食べているか、目を向けたい。


2014年7月15日

段差




例えば保育園にはこんな段差があります。
バリアフリーという考え方からすると、
「このような段差はない方がいい」となるんでしょう。
では、段差をなくせば安全かというと、
そういうことではないですよね。


私たちが生活をしているところにはいろんな段差があります。
それを全部なくすことはできません。
であるならば、その中で安全に過ごすためには
段差を乗り越える力をつけていくしかありません。
小さな失敗を繰り返す中で自ら乗り越える力をつけていく、
保育園はそんな経験を重ねる場でもあると考えています。

2014年7月14日

今日は小雨です




暑い暑いと思っていたら涼しくなったり、
ムシムシするなあと思っていたらカラッとしてみたり。
そんな気候の変化に対応しながら体調を維持するのって
簡単なことではありません。
でも、気候に振り回されながらも
自分なりの対応方法を掴んでいくことが大事なんでしょうね。

2014年7月13日

思いついたことから




他の曜日ではちょっと難しいことも土曜日ならできると思うんですよね。

あんまり深く考えず、思いついたことから動き出してみることにします。

2014年7月11日

話し合い

子どもたちの興味関心がどんなことに向けられているか。
子どもたちはどんな力をつけてきているか。
それらを踏まえて今後どんな活動に展開させていくか。
そのためにどんな配慮が必要か。

こんなことを日々話し合ってます。





No.353 保育実習の感想

6月の終わりのことですが、高校2年の生徒11名が保育園に来てくれました。以前から時々放課後に遊びに来てくれていたんですが、今回は家庭科の授業の一環「保育実習」です。その生徒たちが実習の感想を書いてくれたので、それを読ませてもらいました。読んでいて生徒の心の動きや子どもたちの姿に「おもしろいなあ」と感じることがいくつもあったので、今回はそれを紹介させてもらいます。

「自分にもこんな時期があったと思うと懐かしくなりました。」

乳幼児と関わることで自分の生い立ちを振り返ることができるんですよね。あさり保育園では中学生や高校生のボランティアを積極的に受け入れているんですが、それは、周りの多くの人との関わりによって育ってきたことを改めて知る機会をもってもらうことが目的の1つでもあり、大事な体験だと思っています。


「7ヶ月のYくんが私のことを気に入ってくれ、ミルクを飲ませてあげるときにずっと掴んでくれていたのが嬉しくて嬉しくて仕方なかったです。」

生徒の感情がよく伝わってきますし、同時に赤ちゃんのすごさも感じます。赤ちゃんには自分の面倒をしっかりと見てもらうために、養育者に対して「自分のことをかわいいと思ってもらう」ための行動をとることが分かっています。このことについてはまた別の機会に紹介させてもらいますが、この生徒の嬉しそうな表情が目に浮かんできますね。


「ある子が食べ物を床にこぼしてしまったとき、誰一人としてその子を責めることなく、みんなで協力してそれを拭いていたことには感激しました。」

その場面を丁寧に見てくれていたんだなあとも思いますし、協力し合っていた子どもたちもすごいと思います。子ども同士の関わりの中でつけてきている大事な力です。


「子どもがニガテです。何が言いたいのか、何がしたいのか分からないし、泣かれるとなんか嫌だし…。 〜略〜 その後でちょっとだけで3,4,5歳児と遊ぶときがあって、意外と楽しくてまた来て遊んでみたいと思いました。」

素直な生徒ですね。そしてその生徒の気持ちを変えてしまった子どもたちはすごいです。高校生が子どもと関わる意味は、大人が関わる意味とは違ったものがあるんでしょうね。


「今度また個人的に行きたいと思います。」
「大好きな場所の1つです。」


これはとても嬉しい感想です。多くの人が気軽に立ち寄ってくれ、それぞれのスタンスで子どもたちと関わってくれる、そんな“馴染みの保育園”でありたいと思っているので。

2014年7月4日

学び

学びって、とってもダイナミックなものだと思います。
問いと答えをセットで渡して記憶させ、答えを隠してそれを当てる…
といった単純なことではなく。

あることを突き詰めていけば、それまでの自分の価値観がひっくり返るくらいの出会いがあったりするのが学びのおもしろいところなんじゃないでしょうか。


そう考えると、乳幼児期に様々な出会いや気づきによって価値観がひっくり返る=新しい世界に踏み込むことの楽しさを存分に経験しておくことは、先の学びの姿勢に大きく影響してくると思います。散歩をしている途中で虫を発見して飽きることなく観察する体験とか、自分にはできないことを軽々とやってしまう上の子の姿から刺激を受けることとか、ちょっと危険なことにも挑戦することで身を守る術を身につけ活動範囲を広げていくこととかって、とっても大事なことなんだと思います。


まずは学びの基礎を固めていくために、遊びや生活の中で、心が動いたり新たな価値観に触れたりするような体験を十分に積み重ねること。そのことを深ーく考えて実践していきたいと思っているんですよね。

陽希さんからのハガキ

4月21日、「日本百名山ひと筆書き」に挑戦されている田中陽希さんに会いました。体調があまり良くなく、しかも先を急いでおられるところだったと思いますが、それでも保育園に寄ってくれ、子どもたちに旅の話をしてくれたり、装備を見せてくれたり、質問にも答えてくれたりと、子どもたちを楽しませてくれました。
それだけでも十分に嬉しかったんですが、なんと旅の途中から絵ハガキを送って来てくれました。

最初は奈良県から。







次は長野県から。






「陽希さんからハガキが届いたよー!」と伝えると、子どもたちは駆け寄ってきて嬉しそうにメッセージを読んでいました。

「出会いを大切にしながら旅をしたい」と語っておられましたが、こんな形でその思いを表現してくれるなんて、子どもたちだけでなく私たち大人も感動してしまいます。日々山の中を移動されている陽希さんにこちらから手紙を届けることは難しいため、Facebookを使って子どもたちからの応援メッセージを届けさせてもらいました。

百座のうち既に約半分登頂されていますが(7月4日現在で49座登頂!)、でもゴールまではまだまだ長い道のりです。陽希さんとあさり保育園の距離は日々離れていきますが、遠く離れたところから子どもたちと一緒に陽希さんの挑戦を応援させてもらいます。

出会いを大切にすること。そしてその思いを形にすること。忘れてしまいがちな大事なことに気づかされています。感謝!





陽希さんを密着取材された方のサイトを見つけました。絵ハガキを書いておられる写真もありましたよ。
グレートトラバース”日本百名山ひと筆書き”に密着①(前半)

夕方の出来事

夕方の出来事です。

子どもたちの歓声が聞こえてきたので様子を見に行くと、高ーい積木の塔が2つも作られていました。そして、恐らくその塔作りに関わっていたと思われる子たちが、ロフトに上がって上からその塔を眺めています。



「どっちが高い?」「あっち!」「いや、こっちかな!」と楽しそうに話しています。


しばらく観察が続いたと思ったらまた下に降りてきて、もっと高く積み上げた子たちがどうすれば積んでいけるかを話し合い、挑戦していました。




歓声が聞こえる30分くらい前にはこんな塔はなかったと思いますが、あっという間に作り上げてしまったようです。熱中し始めたときの集中力や展開の早さはすごいですし、一緒になって遊んでいた子たちの一体感もすごく感じました。

また、単に積むだけで終わるのではなく、高く積むためにイスを持ってきたり、そのイスを重ねて更に高くしたり、もっと高くするためにはどうすればいいか考えたりと、工夫する様子があちこちで見られました。高さを比べたいけど下からでは判断しにくいと感じたのか、同じくらいの高さから眺めて比べてみたりというのも見事な工夫です。

これらは全て学びにつながっていくものです。「学びの基礎」という言い方の方がいいでしょうか。すごい体験を子どもたちだけで見事にやってしまってるなあと、ちょっと感動した風景でした。

No.352 挑戦すること




あさり保育園の園庭には、昨年完成した「屋根に登ることのできる小屋」があります。この小屋に何とか登ろうとがんばっている子どもの姿を見ながら、この小屋に挑戦することの意味を考えてみました。まず大切なのは、自分で「やってみよう!」と思って取り組むこと。それがその子の力になっていきますし、そこで得られた達成感が次の活動への意欲につながっていきます。そして「やってみよう!」と思うためには、他にも夢中になれる遊びの選択肢があることも大事です。選択肢があり、またそれを選ぶことができるよう環境があるからこそ、その中から自分の興味のあることを見つけて「やってみたい!」「やってみよう!」という気持ちが生まれてきます。

次に、登りたくない子を無理に登らせた場合を考えてみます(もちろんそんなことはしませんが)。それはその子にとって楽しくないことですし、登るだけの力が備わっていない子が登ると当然一人で下りることもできず、落下などの危険度を高めることになってしまいます。こういう遊具は「登らせてー!」と大人に頼んできたとしても、手を貸してあげるべきではないと考えています。「自分の力で登ることができなければ危ない」ことを伝える大事な機会と捉えています。さらに、「高さ」の要素がある遊びは子どもにとって魅力的なものなのですが、同時に危なさもついてきます。高さのある遊び場を無計画に用意することが危険なのは間違いありませんが、だからといって全ての「高さ」を否定してしまうのは乱暴な話だと思っています。高いところが危険なのは当たり前で、でも「考えられた高さ」によって「ちょっと怖いな」と怖さを感じたり、めまいを感じたりする経験も、子どもの成長にとって大事なことだと考えています。

そして、この小屋では挑戦を繰り返す子の姿が見られます。簡単に登ることができない、でも登りたい。登れる子の姿に刺激を受け、その姿をよく見て、真似をしてやってみて、うまくいかないけどまた挑戦する。それを繰り返して登ることができるようになる経験は、できるだけ多くの子に体験してもらいたいと思っています。また、小屋の上で友だちと話をしてくつろいだり、見下ろすことでいつもとは見え方の違う園庭の様子を楽しんだりと、登ったことで得られる体験は重要なところです。むしろその方が子どもたちにとっては大事だったりすることもあります。単に登って下りるだけではなく、その過程をどれだけ楽しめるか、どんな遊びの広がりや新しい発見があるかも、挑戦の意欲をかき立てる大事な要素です。小屋に挑戦する姿には今後も注目していきます。