2014年7月25日
No.355 ルールの必要性を学ぶ
ある日のことです。4歳児のKくんが、どのゾーンが使えるかを示すボードの前に座り込んでじーっとしていました。どうしたんだろう?と思い近づいてみると、「あ〜あ、積木がしたかったなあ〜。」と一人でつぶやいています。Kくんは積木遊びが好きで、でも積木ゾーンにはバツ印がついていたため残念がっているようでした。そこへ他の子がやってきてKくんのつぶやきを聞き、「先生に『積木ゾーンを○にして!』って言ったらいいんだよ。言いに行ってきたら?」とアドバイスをしています。いいやり取りをしているなあと、感心しながらその様子を見させてもらいました。
「あさり保育園の子どもたちは自由に好きなことができるからいいですね」といわれることがあります。制約が少ないという意味で言われることが多いのですが、私たちは制約が少ないのではなく、「子どもたちがお互いにきちんとルールを守っているからこそ好きなことができている」と考えています。ルールがあることの大切さは、他人の言うとおりに行動していたり、止められてやめたりするだけではなかなか理解できないものです。自由に好きなことができる環境があるからこそ、そこにあるルールの必要性を感じ、お互いにルールを守ることの意味を学んでいくと考えています。
子どもたちが活動する場には、自分のやりたいことを実現できるゾーンがいくつも用意してあります。積木遊びをしたいときは積木ゾーン、体をしっかりと動かしたいときは園庭や遊戯室、といった感じです。では、自由だからといって積木ゾーンで積木遊びをしている子がいるのにそこで走り回っていいかというと、決してそんなことはありません。お互いに自分のやりたいことが満足にできないのは明らかですよね。そんな環境であるからこそルールの必要性を感じ、互いに守ることの意味を理解していくわけです。
ではそのルールに従うだけかというと、それはまた少し違います。お互いのやりたいことをジャマしないものであり、他にしなければいけない予定がなければ、「今日は積木がしたいから積木ゾーンを○にして!」と頼んできたことは受け入れるようにしています。そんな風に子どもたち自身がルールの運用者として行動することも、ルールを学ぶ上では大切なことです。今は多くの子がルールを学んでいる最中なので、Kくんにアドバイスをしてくれた子のような存在は大事です。自由に活動するために必要なルールを子どもたちが学び合っている過程を見て、なんだか嬉しくなりました。
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