2014年7月4日

No.352 挑戦すること




あさり保育園の園庭には、昨年完成した「屋根に登ることのできる小屋」があります。この小屋に何とか登ろうとがんばっている子どもの姿を見ながら、この小屋に挑戦することの意味を考えてみました。まず大切なのは、自分で「やってみよう!」と思って取り組むこと。それがその子の力になっていきますし、そこで得られた達成感が次の活動への意欲につながっていきます。そして「やってみよう!」と思うためには、他にも夢中になれる遊びの選択肢があることも大事です。選択肢があり、またそれを選ぶことができるよう環境があるからこそ、その中から自分の興味のあることを見つけて「やってみたい!」「やってみよう!」という気持ちが生まれてきます。

次に、登りたくない子を無理に登らせた場合を考えてみます(もちろんそんなことはしませんが)。それはその子にとって楽しくないことですし、登るだけの力が備わっていない子が登ると当然一人で下りることもできず、落下などの危険度を高めることになってしまいます。こういう遊具は「登らせてー!」と大人に頼んできたとしても、手を貸してあげるべきではないと考えています。「自分の力で登ることができなければ危ない」ことを伝える大事な機会と捉えています。さらに、「高さ」の要素がある遊びは子どもにとって魅力的なものなのですが、同時に危なさもついてきます。高さのある遊び場を無計画に用意することが危険なのは間違いありませんが、だからといって全ての「高さ」を否定してしまうのは乱暴な話だと思っています。高いところが危険なのは当たり前で、でも「考えられた高さ」によって「ちょっと怖いな」と怖さを感じたり、めまいを感じたりする経験も、子どもの成長にとって大事なことだと考えています。

そして、この小屋では挑戦を繰り返す子の姿が見られます。簡単に登ることができない、でも登りたい。登れる子の姿に刺激を受け、その姿をよく見て、真似をしてやってみて、うまくいかないけどまた挑戦する。それを繰り返して登ることができるようになる経験は、できるだけ多くの子に体験してもらいたいと思っています。また、小屋の上で友だちと話をしてくつろいだり、見下ろすことでいつもとは見え方の違う園庭の様子を楽しんだりと、登ったことで得られる体験は重要なところです。むしろその方が子どもたちにとっては大事だったりすることもあります。単に登って下りるだけではなく、その過程をどれだけ楽しめるか、どんな遊びの広がりや新しい発見があるかも、挑戦の意欲をかき立てる大事な要素です。小屋に挑戦する姿には今後も注目していきます。

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