2012年12月18日

「失敗」を「自信の根」に ②

自分より年上の子が、ブランコを立ちこぎしている。それを見て、自分も同じように立ちこぎしようとする。しかし、うまくできない。場合によってはバランスを崩して、ブランコから落ちてしまう。これが「失敗」です。しかし、やりたい。「できないけど、やりたい」。これが「葛藤」です。


以下に紹介するのは、定期的にお邪魔している子育て支援センターでの出来事です。

お母さんに連れられてきた3、4名の子どもたちが、ジャングルジムで遊び始めます。ジャングルジムの高さは1mくらい。積極的に登り始めたのは、一番大きな4歳の女の子。ジャングルジムを登っては、ジャングルジムについているすべり台から降りる。それを見ながら、3歳から1歳の子どもたちが、同じように遊び始めます。

子どもたちの遊びを見ていた、あるお母さんの言葉が気になりました。とにかく否定語・禁止語が多いのです。

 「そんなとこ登ったら、危ないわよ」
 「お兄ちゃんでしょ。譲ってあげなさい」
 「後ろに赤ちゃんいるわよ。気をつけなさい」
 「パンツ見えてるわよ。みっともないわよ」



登りたいのに、うまく登れない。時には落ちてしまう。そのような子どもの姿は、大人から見ると「危なっかしい」。だから、思わず手を出してしまいたくなる。しかし、失敗や葛藤は「危なっかしい」ものです。


先ほどのお母さんの場合は、ご本人が自分の言葉に悩んでいると見えて、自然と、その話になりました。話しているうちにわかってきたのですが、このお母さんの場合は、周囲がしつけにきびしいのです。

お母さん自身は、子どもにめいっぱい遊ばせてあげたい、多少のことは大目に見てあげたいと思っているのですが、周囲がうるさいのです。「甘やかすな」「しっかりしつけろ」、そんな小言で、お母さんを追い込むのです。

いきおい、お母さんの小言も増える。「みっともない」「危ない」、そんな言葉で子どもを縛ってしまうのです。


子育て支援にかかわっていると、こうしたケースに出会うことが少なくありません。少々危ないことをしたほうが子どもにとっての学びになると思っていても、周囲の声におされて手を出してしまう。そういった方が多いのです。

ですから、周囲の方には「危なっかしさの中にこそ、学びがある」「危なっかしさの中にこそ、自信型に育つ芽が潜んでいる」ということをご理解いただき、保護者や保育者が「危なっかしさ」を「見守る」ことを許容していただきたいのです。

以下の文章では、そういった思いを込めて、「危なっかしさの中にこそ、学びがあること」「危なっかしさの中にこそ、自信型に育つ芽が潜んでいる」 ことについて、記します。



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