2018年7月2日
ミツバチの会議
ミツバチ会議という会議の手法があると聞き、どのようなものかを学ぶために本を探していたところ、「ミツバチの会議 なぜ常に最良の意思決定ができるのか」(トーマス・シーリー著)という本を見つけました。ぴったりのものが見つかった!と喜んでいたら、何と9割はミツバチの生態や特徴で、会議の方法は残りの1割でした。でもなかなか興味深い内容でした。
ミツバチは春になると半分が新しい巣を探す行動を始めるようで、それを分蜂といいます。探索蜂が新しい巣の候補を探しに行き、いい物件が見つかると群れに戻って尻振りダンスをして仲間に報告します。その報告を受け、候補物件に招集された蜂はその物件が素晴らしいと思えばまたそれを群れに戻って尻振りダンスで報告し、たくさんの探索蜂を集めるという流れになります。いい物件であれば探索蜂が爆発的に増えていくミツバチの合意形成の形は、人間の会議の参考になるんじゃないかというのが著者の考えです。
著者は蜂から学んだことを生かして、例えばこんな提言をしています。
集団全体にとってよい選択をするため、いかに集団のメンバーの知識と意見をまとめるか、ハチが示してきたことを人間はどのように利用できるだろう?私は3つの提案をしたい。第1に、集団のメンバー間に散在する情報を統合するために、開かれた公平なアイディアの競争の力を、率直な議論という形で利用すること。第2に、討論する集団の中に良好なコミュニケーションを育成し、それが、あるメンバーが発見した貴重な情報をすみやかに他のメンバーに届ける方法をであることを認識すること。第3に、集団のメンバーは他人の発言を聞くことも大切であるが、批判的に聞き、議論されている選択肢について自分自身の意見を形成し、独自に視点を定めることが大切であると認識することだ。
これだけの説明では蜂の生態と会議のあり方のつながりが見えないでしょうが、そこは何となくでも想像してもらうとして、このミツバチ会議の考え方はなかなかおもしろいと思いました。相手の意見を尊重しつつ、批判的な聞き方もしつつ、自分の視点もちゃんと持ちつつ会議を進めていく。こういう会議を増やしていきたいと思います。当分の間はミツバチを見かける度にこの話を思い出しそうです。
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